「土地の境界」というのは、法律上はわりと漠然とした言葉で、土地家屋調査士が扱う土地の境界は「筆界」と呼ばれます。
「筆界」は公法上の境界を指します。
これに対するのが所有権界です。
所有権界と筆界との違いについて、簡単な例を挙げて説明してみます。

1番1の土地と、1番2の土地が隣り合っており、この境界の位置は登記所の地積測量図によって明らかであったとします。

しかし、何らかの理由で、1番2の所有者が1番1の敷地内に越境して塀を立てて、その内側までを自分の土地として使用し、お互いの所有者が特に争うこともなく、年月が経過して時効が成立したとします。
時効が成立すれば、1番2の所有者は塀の部分までを自分の所有として主張できるわけですが、登記上の筆界はまだ元のままです。これが「筆界と所有権が異なっている」状態です。
この時点では、この部分(1番1と1番2の筆界から塀まで)に対する1番2の所有者の権利は、まだどこにも登記されていません。土地の権利は登記によって第三者にも対抗できるのですから、これは権利的には不安定な状態と言えます。
しかし、「1番1の一部に対する所有権」という登記はできません。
また、筆界は公法上の境界という性質上、たとえ両者の同意があっても、「境界を塀の部分まで移動する」という処理はできません。

そこでこのような状態を登記に反映させるときには、1番1から当該部分を分筆します。
分筆すると「1番3」のように、この範囲を筆界とする新たな土地の登記が生まれます。
そしてこの1番3の所有権移転登記をすることによって、この部分は登記上も1番2の所有者のものになるというわけです。